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ブリテン: 歌劇《ピーター・グライムズ》(ミラノ・スカラ座)

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【演奏】
ピーター・グライムズ(漁師): ジョン・グレアム=ホール
少年(ジョン): フランチェスコ・マルヴッチョ
エレン・オーフォード(未亡人で村の教師): スーザン・グリットン
ボルストロード船長: クリストファー・パーヴェス
アンティ(酒場の女主人): フェリシティー・パーマー
姪1: イダ・ファルク・ヴィンランド
姪2: シモナ・ミハイ
ボブ・ボールズ(漁師): ピーター・ホア
スワロー判事: ダニエル・オクリッチ
セドリー夫人: キャサリン・ウィン=ロジャース
ホレース・アダムス(牧師): クリストファー・ジレット
ネッド・キーン(薬剤師): ジョージ・フォン・ベルゲン

演出: リチャード・ジョーンズ

ロビン・ティチアーティ(指揮)
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団

【収録】
012年6月 ミラノ・スカラ座 (ライヴ)
 
>生誕100周年の記念イヤーにお届けする、ブリテンの代表作。

 2005年にすでに最年少でミラノ・スカラ座デビューを果たしたロビン・ティチアーティ。1983年生まれのイギリスの若き指揮者(当時まだ20代!)が、イギリス人キャストたちを率いてスカラ座で披露したブリテンの代表作《ピーター・グライムズ》。
 スカラ座でようやく3度目の上演となったこの演目。1830年代のイギリスの小さな漁村で起きるピーター・グライムズと村人たちをめぐる音の心理劇は、演出家リチャード・ジョーンズの手により20世紀後半のイギリスへと舞台を移します。ヴィヴィッドな舞台造詣により一層鮮明に浮かび上がってくるリアリティ、グライムズの恐怖や孤独感に戦慄。
(日本コロムビア)
 
 これは少し前にNHK-BSでも放映されたものである。発売元のコメントにある通り、オケと合唱それに黙役以外は全てイギリス人によるもの。イタリア・オペラの総本山でイタリア作品以外のものがかかってソフト化されるのはここ最近増えている。バレンボイムによるワーグナーもあるあし、ビゼーの「カルメン」、それにモーツァルトのオペラという具合だ。 もともと、ロシアものなども上演されているが、レコード会社の方が柄ではというので録音収録しなかっただけなのかもしれない。もっと前はワーグナーなんかもイタリア語で歌唱していたのかもしれない。今は劇場に字幕の出る時代なので原語上演が通常化しているようだ。
 
 さて、この物語は1830年頃の筈だが、舞台は1960年頃になっているみたいだ。登場人物の服装もだし、グライムズの家には小型ながらテレビもあったりする。船でロンドンまで魚を運ぶというのは現代ではまずあり得ないので、台詞と風俗の矛盾は如何ともしがたい。現代化に反対するのは云っていることと、所作に自体におかしなところが出てくるからだ。この物語は中世の王侯貴族が出るわけでもないし、神話でもないので、違和感は少ない方だ。徒弟という言葉も舞台の時代にそぐわない。拍手の他にブーイングが聴こえるのは演奏面よりは演出や装置についてもののようだった。
 
 ブリテンの音楽は自分にとってはややとっつきにくいものである。ディーリアスやRVWのようにメロディ・ラインが明確でなく、前衛に近い部分もあって、難解に聴こえる箇所もある。ロビン・ティチアーティという指揮者はこれで初めて知った指揮者だが、難なく捌くところは大したものである。それでもカーテンコールの時は安堵したような表情だった。

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