①交響曲第1番ハ短調(ウィーン版) 2009.1.25,29
②交響曲第2番ハ長調(ハース版) 1968.3.14,15.
③交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」(エーザー版) 1999.5.3-5
④交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(初稿版) 1994.4.12-15
⑤交響曲第5番変ロ長調(原典版) 1988.12.8-12;1989.11.9-11
⑥交響曲第6番イ長調(原典版) 2001.3.29
⑦交響曲第7番ホ長調(原典版) 1986.12.15,16
⑧交響曲第8番ハ短調(初稿版) 2007.6.2
⑨交響曲第9番ニ短調(原典版) 2013.12.20
ミヒャエル・ギーレン指揮 ①③~⑨南西ドイツ放送交響楽団②ザールブリュッケン放送交響楽団
放送局の音源から取られたギーレンのブルックナー交響曲全集。1968年から2013年に渡る45年間の記録である。第2番以外の全ての演奏を担当している楽団はバーデンバーデン&フライブルクという地名がついているが、シュトゥットガルトのオケと合併されるとかで、本場でもリストラが断行されているようだ。このオケには日本の女性トロンボーン奏者の清水真弓さんという人が首席で在籍しているはずだが、どうも彼女が就任する前のようで、この録音には参加していない可能性が高い。合併となるとこの人もどうなるのでろうか。
さて、肝心の中身だが、たいへんユニークな全集だ。版は曲によってまちまちで初稿版まである。ことに第4番は普段聴きなれている音楽とかなり異なる。特に後半の2つの楽章は同じ素材はあるものの別物である。ティントナーやインバルの録音で聴けるが、この全集に含まれているとは思わなかった。第8番も初稿版で違うところが多々ある。しかもギーレンはこの曲の第2楽章のスケルツォが極端に遅いときている。他の曲は割と淡々と進行するのにこれだけは様子が違う。また第3番もクーベリックが取り上げたエーザー版のようだ。初稿になるとワーグナーのオペラから引用が多くて冗長な感じがするが、この版は一番バランスがいい。ノヴァーク版だとあっけない楽章があったりするが、これはそういう不満はない。考え抜いて版を選択しているようで面白い。
ただ、これをずっと聴き通すのはかなり骨が折れる。やはりどこかブルックナーは苦手意識があるようだ。