先日、BSプレミアムで放映されて、楽しみにしていたのだが、地震が北海道で発生してしまい、その告知が画面に出たために、仕方なく消去してしまった。緊急事態だから、仕方がないのだろうが、画面中央に大きな表示が出てしまって、映画自体はだいなしなってしまっていた。作品そのものはなかなかの線で、イ-ストウッドの初監督作品だという。気を取り直して、通販でソフトを見つけて購入して、鑑賞してみた。1975年に日本テレビ系列で放映した折の吹替え音声もあって、少々得した気分になった。またおまけとして当時の雑誌記事が封入特典としてあった。その冊子には双葉十三郎氏の「批評」があった。
評論家の双葉氏は中間部にある本来の恋人との「濡れ場」が欠点という指摘をしていた。「いい気なもんだ」とこの部分にはかなりご不満な様子。確かにこの部分は中だるみになっていて、テンポ感が急に落ちてしまう。それが惜しまれてならない。しかし、これは初監督からしてストーカーを扱うとは、目の付けどころが違うなというのが率直なところだ。軽い気持ちで相手になった女性が勘違いしてやがて危害を及ぼすようになる恐怖はリアルである。1971年当時はあまり認識のない問題だが、今の時代だから切実に感じる内容ではなかろうか。やりようによってはヒッチコックのように恐怖を強調する方法もあろうが、そこはアクションスターとしてのイーストウッドのイメージを損なわないような構成になっているようだ。
なお、本作品にはバーテン役として、イーストウッドの師匠でもあるドン・テイラーが役者として出演している。クレジットには「ドナルド・シーゲル」と初期の作品に使われていた名前で表示されている。