田坂監督としては、有名な「五番町夕霧楼」の次に製作した作品となる。これも2時間を超える大作である。この監督はスローテンポであまりにも真面目に撮りすぎる傾向があって、正直観終わって疲れてしまう。また錦之助がややオーバーな芝居をする、しかも正義の味方ではなく、どちらかというと悪党なのでつらい。
初見はフィルムセンターで数十年前に開催された「田坂具隆監督特集」の1本として上映された折だ。飢餓になって人肉を喰らうというショッキングなシーンもあって、どぎつさもある。佐藤勝の音楽が土俗的なバーバリズムをたたえた音楽がとても印象的だった。タイトルバックの音楽の一部は同じ田坂作品の「湖の琴」にも転用されていた。系統的に映画を観ていくと思わぬ発見もある。