NHKが日本ニュースを特集で取り上げた番組をヒストリー・チャンネルで放映していた。正確な放映日は調べてないが、1985年頃ではなかろうか。戦争を40年ほど前とナレーションで云っているからだ。ナレーターは加賀美アナウンサーの担当だった。
NHKは1940年から45年までの作品に焦点をあてて、幸の薄い時代の日本の記録を浮彫にしている。時折撮影に携わった日本映画社のOBカメラマンや映像に登場した人物の証言が挟まれていた。ニュース映画自体まるまる1本を放映するのではなく要所要所を切り取って編集した番組だ。今はNHKで保管されているらしい。これらの映像の中にはいろいろな番組で引用されたりして、見知った部分も多々ある。中にはフィルムセンターで「映画で見る昭和10年代」という企画でまるまる1本観た作品もある。
前者では太平洋戦争突入した時の大本営発表する軍人官僚の映像はいろいろなところで目にした。時には「ポンキッキ」などの幼児向け番組でも引用されて驚いたことがある。さすがに次男が今のは何?と聞いてきたことがある。幼児たちにはさっぱり理解できなかったのだろうが、親がそれを教えることをテレビ局は期待したのだろうか。
後者の代表格は「学徒出陣」の1本。もちろん各種引用でも目にしているが、フィルムセンターに映画を観に行ったら、劇映画に先立ってこれがまるまる1本上映された。センターの企画としては当時の雰囲気をそのままにという趣旨もあったようだ。東條英機の演説がそのまま流れ、その気にさせられるような気分で映像の魔力みたいなものを感じた。もちろんその先のことを知っているのでそうした力も半減といったところだが、映画は武器にもなるのである。
最後に「日本ニュース」には芸能ダネといった華やかなものは一切ないということだった。時局戦局に限られた肩ぐるしい内容だったのだ。