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若さま侍捕物帖 鮮血の晴着(小沢茂弘・東映京都1957年作品)

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若さま侍捕物帖 鮮血の晴着
 
 城昌幸という作家が書いた捕物帳シリーズを原作にした作品の一つ。1939年から書かれて昭和40年代まで300篇にものぼるエピソードがあるという。映画では新東宝が4本、東映が10本ほどある。東映では大川橋蔵の当たり役で1956年から62年まで製作されている。中でも沢島忠監督による「黒い椿」が有名だが、本作は第4作となるもの。上映時間はわずか1時間程度で添え物だったようである。封切りが3月4日と資料にはある。つまりこの日は今井正監督の初カラー作品「米」の公開日でもある。この2本が同時に同じ映画館で上映されたということであろうか。メインの「米」がリアルな社会批判映画に比し、これはあくまで現実離れした「おとぎ話」のような内容である。観客は戸惑ったのだろうか。それとも肩の凝るリアルな映画の口直しとして歓迎されたのだろうか。あれこれ想像してしまう。
 
 さて、橋蔵も大分映画馴れしたのか、主役の風格が出てきたような感じだ。テレビ普及がまだそれほどなってない時代だからこそ、こうした企画があるのだろう。今ならテレビ向けの内容だが、そこは職人技というか楽しめるように工夫はされている。謎解きというには筋は単純ではある。もともと主人公は素性が不明確なイケメン侍ということだが、本作ではその素性が示唆される。将軍の血筋を引く人なのだ。最後のシーンは葵の紋をつけて登場するのは少々驚いた。
 

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