Quantcast
Channel: 趣味の部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

日本の戦中の交響作品

$
0
0
2003年2月23日 紀尾井ホール(ライブ録音)

早坂文雄管絃樂曲「讃頌祝典之樂」(1942)
信時潔交声曲「海道東征」(1940)
芥川也寸志NHK大河ドラマ「赤穂浪士」よりテーマ(1964)
 
ソプラノ鈴木美登里
ソプラノ野々下由香里
アルト穴澤ゆう子
テノール谷口洋介
テノール島田道生
バリトン春日保人
合唱ニッポニカ・フェスティバル・コーア
指揮本名徹次
管弦楽オーケストラ・ニッポニカ

これはオーケストラ・ニッポニカの2回目の演奏会のライヴのようである。このオケは日本人の作品を主に、
することを柱にするというユニークな団体で、これまであまり取り上げてこなかった邦人作品を取り上げて、
録音も出してくれるというたいへんありがたい存在だ。

信時潔のカンタータは先日東京藝術大学の演奏があったが、これはそれに先立つ10年以上も前の記録。多分早坂作品ともども戦後初めて演奏されたものではなかろうか。題名からして、国粋的な雰囲気漂う内容なので忌避されてきたものだろう。

 早坂の作品は1942年に初演されている。演奏は新交響楽団つまり現在のNHK交響楽団だ。指揮は山本直忠。この当時は邦人作品を必ず入れるようなことも行われていたようだが、初演の場は「第1回管弦楽優秀作品発表会」だった。周知のように早坂は映画音楽を手掛け黒澤明た溝口健二の作品などを担当した人だ。映画音楽は1939年から開始しているので、もう東宝専属として働いていた時期でもある。この時期では「左方の舞と右方の舞」という作品が有名だが、この曲もやや似たような要素があるのが面白い。

 信時作品は既に記事にした。作詩が北原白秋ながら言葉が難しい。敬遠されるのは内容もさることながら、歌詞の難しさもあるのかもしれない。やたら難解な言葉を使って権威を誇示するような傾向があったのだろうかと思ったりもする。

 最後の芥川作品は恐らくは、アンコールだろう。皮肉なことに拍手はこれが一番大きかった。聴衆にもこれが一番馴染みだったのだろう。でも演奏に参加している人でこの音楽ですら、わからない人も多かったのではなかろうか。
 
                                                                                                                                    

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

Trending Articles