ナサニエル・シルクレットという人は指揮者としては知っていたが、作曲もやっていたことそして元来はクラリネット奏者だったことはつい最近知った。そしてこの協奏曲はジャズ奏者のトミー・ドーシーのために書かれ、ドーシーの演奏で初演された。その録音が今度出るようだ。指揮者はストコフスキー。その録音の発注をしたが、もっといい状態の録音を捜したところクリスチャン・リンドベルイのものを見つけた。ただし、廃盤のようで中古の某社のマーケットプレイスで発注。やっと海の向こうから届いた。そのアルバムにはシルクレット作品の他、現代作品が2つが収録されていて、1971年のヘブベルクの協奏曲とリンドベルイの自作。正直これらは歌声も入るちょっと突飛な構成で俄かに馴染めないものがあったが、シルクレットは感じのよいムード音楽といった趣だった。1945年に発表されたもので、古き良きアメリカの雰囲気を伝えた作品と云ってよかろうか。ただ、技巧に走るリンドベルイの演奏ではやや落ち着きの悪い感じもある。
シルクレットの名を知ったのは、小学校の頃、我が家の納屋から出てきたSP盤群の中にあった日本ビクターの包装紙に印刷されていた宣伝だった。関屋敏子という日本の戦前のソプラノ歌手のレコードの宣伝でその句に「シルクレット氏指揮米国ビクター・サロン管弦団伴奏による」とあった。シルクレットという指揮者がいるのだなという認識はここからだった。曲目はシューベルトの「セレナード」とビショップの「見よ優しき雲雀を」だったかと思う。これらはいずれも復刻CDで入手した。ただしそのCDには指揮者の名前が載っていないが、この宣伝からシルクレットの指揮であると確信している。検索してみるとこの小アンサンブルのメンバーとともに写った写真も見た。
今はその本家本元の演奏がどんなものかを楽しみにしている。