Quantcast
Channel: 趣味の部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

アバドとBPOの最後の共演コンサート

$
0
0
ベルリン・フィルが作ったアバドの「メモリアル・アルバム」
アバド最後の客演コンサート&貴重なドキュメンタリー映像

ベルリン・フィル・レコーディングスが、クラウディオ・アバドの三回忌を記念して、新タイトル「クラウディオ・アバド~ザ・ラスト・コンサート」を発売します。これは、2013年5月にアバドがベルリン・フィルに最後に客演した際の演奏を収めたもので、メンデルスゾーン『真夏の夜の夢』(序曲および6曲)、ベルリオーズ:幻想交響曲がCD、BDビデオ&オーディオ、ハイレゾ・ダウンロードのマルチ・フォーマットで収録されています。
今回のコンセプトは、ベルリン・フィル団員のアバドへの思い出が詰まった「アルバム」。装丁は卒業アルバムを連想させる布張りハードカバーで、ブックレットにはプライベートを含む様々な写真が散りばめられています。その多くが、これまでに非公開だったもの。さらにBDビデオには、ベルリン・フィル首席指揮者就任時の最初の1年を追ったドキュメンタリーが収録されています(1991年制作/20年以上前にドイツ・グラモフォンからVHSおよびLDでリリースされて以来の復刻)。


「アバドは妖精の世界を見ることができる」と評された演奏はもちろんのこと、このドキュメンタリーが、実に示唆に富んでいます。ベルリンの壁が崩壊した1989年に首席指揮者となった彼が、楽団にカラヤン時代とまったく違う空気を送り込んだことが、生々しく伝わってくる内容です。現在の視点から観ると、彼が音楽および人生の上で目標としたことが、後にすべて実現したことが分かり、深い感動を覚えます。
同時に、2014年にベルリン・フィル団員がアバドの思い出を語った映像も収録。ここでは、彼(不器用なリハーサルをしたことで有名)が稽古中にわざとカオスを引き起こすことで、団員がお互いに音を聴くように仕向け、「オケによる室内楽」を実現させた、という驚くべき新説が提示されています。
総じてベルリン・フィルのアバドの思い出が、演奏音声、演奏会映像、写真、ドキュメンタリーのすべてで多角的に凝縮されており、「アルバム」の名に相応しい内容となっています。アバド・ファン、アバド時代のベルリン・フィルに関心を持つリスナーには、絶対に見逃せないタイトルと言えるでしょう。(キングインターナショナル)


 これは2013年5月のベルリン・フィルの演奏会に登場したクラディオ・アバドの指揮姿を収めたもの。この人が亡くなったのが2014年1月20日であるから、死が目前だった時期である。いつか、大病を患って復帰後に振ったヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」の映像ソフトを持っているが、痛々しい姿だった。いつ訃報が入るのかと心配するほどだった。この映像を観ても健康状態はあまりよくないように見えた。しかし、何度も演奏されつくした曲目なのに、新たな魅力を感じさせるのはやはり只者では人だったと思い知らされる。ややテヌート気味に音を鳴らせている。また、最新の録音の威力でベルリオーズの幻想交響曲のラストでなる2本のテューバの動きも鮮明に聴こえてくる。このBOXはメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」とベルリオーズの幻想交響曲の2つ。多分、ポスト・ベートーヴェンの同時代の二人の作品を並べて、当時の音楽状況をコンサートで披歴するというようなテーマだったのだろう。普段はこの二人の接点を考えたことはない向きは多い。でも僅か5歳の年齢の開きしかなく、互いの作品についての評価もしているのである。若いメンデルスゾーンのいささか対応が子どもっぽいのが面白い。裕福な坊ちゃん育ちで、ベルリオーズとは反りはあわないのは、この自分にも想像できる。

 さて、CDはそれぞれ1枚に1曲収録。あとBDには映像なしのAudioと映像ヴィデオの両方が収録されている。音だけの方は拍手も入っておらず、本番ではなくゲネプロの演奏も入っているのかもしれない。一方映像はコンマスが登場してチュウニングするところから始まり、観客の拍手もしっかり入っている。コンマスは樫本大進ではなかったが、ヴィオラの第一席は日本人奏者の清水直子という人が座っていた。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

Trending Articles