交響曲第3番『悲歌のシンフォニー』でその名があまねく知られる作曲家、ヘンリク・グレツキ。彼の幻の遺作とされる交響曲第4番『タンスマンのエピソード』がようやくリリースされます。この録音は2014年、アンドレイ・ボレイコが指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による世界初演(ロイヤル・フェスティバル・ホール)の際に行われたもので、作品はグレツキと同郷の作曲家アレクサンダー・タンスマンへのオマージュとなっています。
2010年にグレツキがこの世を去った時には完成されていなかったため、初演の機会を逸していたのですが、彼の息子で作曲家でもあるミコライが演奏可能なスコアとして完成させたというもので、ピアノ、オルガンを含む独奏楽器群が活躍するある意味「力強い音」は、交響曲第3番のみでグレツキに親しんでいた人には、予想を裏切るものかもしれません。しかしこれは新古典派風であり、またミニマル風であるという彼の第2期の作風に近いものです。途中で奏されるピアノのコラールのような断片が導くメロディーは、まさに「祈り」の音楽。生涯の終焉に向かって、若干迷走してしまった感のあるグレツキの音楽は、この交響曲第4番で集大成を見たのかもしれません。(NONESUCH)
2010年にグレツキがこの世を去った時には完成されていなかったため、初演の機会を逸していたのですが、彼の息子で作曲家でもあるミコライが演奏可能なスコアとして完成させたというもので、ピアノ、オルガンを含む独奏楽器群が活躍するある意味「力強い音」は、交響曲第3番のみでグレツキに親しんでいた人には、予想を裏切るものかもしれません。しかしこれは新古典派風であり、またミニマル風であるという彼の第2期の作風に近いものです。途中で奏されるピアノのコラールのような断片が導くメロディーは、まさに「祈り」の音楽。生涯の終焉に向かって、若干迷走してしまった感のあるグレツキの音楽は、この交響曲第4番で集大成を見たのかもしれません。(NONESUCH)
アンドレイ・ボレイコ指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2014年4月12日
録音場所:ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドン
第3番「悲歌のシンフォニー」で一躍有名になった人だが、亡くなってもう4年も経っていることをこの度知った。第3番はヒーリング音楽として、現代曲としてはCDもよく売れたと聞くが、その印象で接すると全く異なった印象を受ける。こちらの方が大きな編成のオーケストラを要する。またどこかポーランドの民族音楽みたいな要素もあって、聴く分には飽きない。大編成でも時には室内楽みたいな部分もあるので、演奏する方はかなりの難物ではなかろうか。タンスマンは確かACOの自主制作盤の中に作品があったように思うが、どんな音楽かとんと覚えていない。日本には馴染みのない作曲家ではある。