収録内容】
イストミンは、スターンとの二重奏やトリオで有名で、室内楽奏者としての卓越した手腕が高く評価され、数多くのレコーディングもおこなわれましたが、当ボックスでは、これまであまりクローズアップされてこなかったソリストとしてのイストミンのレコーディングを数多く収録しています。
19歳の時にアドルフ・ブッシュと共演したバッハのピアノ協奏曲第1番に始まり、パブロ・カザルスと共演したバッハのブランデンブルク協奏曲第5番(ヴァイオリンはシゲティ)、モーツァルトのピアノ協奏曲第14番、ショパンの夜想曲全曲、ブラームスのヘンデル・ヴァリエーションなどのモノラル期の演奏は、若きイストミンの才能を刻印しています。ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団との共演では、ベートーヴェン第4番、第5番『皇帝』、ショパン第2番、ブラームス第2番、チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2番が収録されており、シューマンのピアノ協奏曲では最晩年のブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団が花を添えています。
さらに注目されるのは、ディスク11~12に収録された世界初発売となる音源10曲で、イストミン絶頂期のピアニズムを堪能することができます。
【ユージン・イストミン・バイオグラフィ】
1925年11月26日、ニューヨーク生まれ。両親はナイトクラブの歌手だったロシア人。アレクサンダー・ジロティの娘、クリエナ・ジロティにピアノを学ぶ。12歳でカーティス音楽学校に入学し、ルドルフ・ゼルキンとミエチスワフ・ホルショフスキに師事。17歳でレーヴェントリット賞とフィラデルフィア青年賞を受賞し、フィラデルフィア管弦楽団およびニューヨーク・フィルとの共演を同じ週に行ないステージ・デビュー。1950年、25歳の時には、カザルスが主宰するプラド音楽祭に最年少のアーティストとして出演し、カザルスとの生涯にあわたる友情を確立する(カザルス没後の1975年にはカザルス未亡人のマルタと結婚)。1955年にはスターン、ローズとのピアノ・トリオを結成。1988年には、自分自身のピアノを格納できる特注のトラックとともに4カ月にわたる北米30都市でソロ・リサイタル・ツアーを敢行し、大きな話題となった。(SONY)
【収録情報】
Disc1
● J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 BWV.1052
アドルフ・ブッシュ(指揮)ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ
録音:1945年4~5月
● J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV.1050
ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
ジョン・ウンマー(フルート)
パブロ・カザルス(指揮)プラド祝祭管弦楽団
録音:1950年6月
● J.S.バッハ:トッカータとフーガ ホ短調
録音:1950年7月
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K.449
パブロ・カザルス(指揮)ペルピニャン音楽祭管弦楽団
録音:1951年7月
Disc2-3
● ショパン:夜想曲全集(全19曲)
録音:1955年1、2、9月
Disc4
● ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1956年4月
Disc5
● ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
録音:1957年9月
● ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調
録音:1951年3月
Disc6
● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1958年1月
Disc7
● チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1959年4月
Disc8
● ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1959年11月
● シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54
ブルーノ・ワルター(指揮)コロンビア交響楽団
録音:1960年1月
Disc9
● ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1965年2月
Disc10
● ベートーヴェン:三重協奏曲ハ長調 Op.56
アイザック・スターン(ヴァイオリン)
レナード・ローズ(チェロ)
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1964年4月
● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1966年12月
Disc11
● シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番ニ長調 D.850
録音:1969年6、9月
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 Op.53
録音:1959年12月(世界初発売)
Disc12(世界初発売)
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調 Op.78
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 Op.27-2『月光』~第2楽章
録音:1960年4月
● ショパン:夜想曲第5番嬰ヘ長調 Op.15-2
録音:1966年3月、1967年4月
● ショパン:ポロネーズ 変イ長調『英雄』
録音:1967年4月
● ドビュッシー:『亜麻色の髪の乙女』
● ドビュッシー:『月の光』
録音:1968年3月
● メンデルスゾーン:無言歌『5月のそよ風』 Op.62-1
録音:1966年3月、1967年4月
● シューベルト:即興曲 Op.90, D.899~第2番、第3番
録音:1967年4月
● ストラヴィンスキー:ピアノ・ソナタ
録音:1966年3月、1967年4月
ユージン・イストミン(ピアノ)
イストミンは、スターンとの二重奏やトリオで有名で、室内楽奏者としての卓越した手腕が高く評価され、数多くのレコーディングもおこなわれましたが、当ボックスでは、これまであまりクローズアップされてこなかったソリストとしてのイストミンのレコーディングを数多く収録しています。
19歳の時にアドルフ・ブッシュと共演したバッハのピアノ協奏曲第1番に始まり、パブロ・カザルスと共演したバッハのブランデンブルク協奏曲第5番(ヴァイオリンはシゲティ)、モーツァルトのピアノ協奏曲第14番、ショパンの夜想曲全曲、ブラームスのヘンデル・ヴァリエーションなどのモノラル期の演奏は、若きイストミンの才能を刻印しています。ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団との共演では、ベートーヴェン第4番、第5番『皇帝』、ショパン第2番、ブラームス第2番、チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2番が収録されており、シューマンのピアノ協奏曲では最晩年のブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団が花を添えています。
さらに注目されるのは、ディスク11~12に収録された世界初発売となる音源10曲で、イストミン絶頂期のピアニズムを堪能することができます。
【ユージン・イストミン・バイオグラフィ】
1925年11月26日、ニューヨーク生まれ。両親はナイトクラブの歌手だったロシア人。アレクサンダー・ジロティの娘、クリエナ・ジロティにピアノを学ぶ。12歳でカーティス音楽学校に入学し、ルドルフ・ゼルキンとミエチスワフ・ホルショフスキに師事。17歳でレーヴェントリット賞とフィラデルフィア青年賞を受賞し、フィラデルフィア管弦楽団およびニューヨーク・フィルとの共演を同じ週に行ないステージ・デビュー。1950年、25歳の時には、カザルスが主宰するプラド音楽祭に最年少のアーティストとして出演し、カザルスとの生涯にあわたる友情を確立する(カザルス没後の1975年にはカザルス未亡人のマルタと結婚)。1955年にはスターン、ローズとのピアノ・トリオを結成。1988年には、自分自身のピアノを格納できる特注のトラックとともに4カ月にわたる北米30都市でソロ・リサイタル・ツアーを敢行し、大きな話題となった。(SONY)
【収録情報】
Disc1
● J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 BWV.1052
アドルフ・ブッシュ(指揮)ブッシュ・チェンバー・プレイヤーズ
録音:1945年4~5月
● J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV.1050
ヨゼフ・シゲティ(ヴァイオリン)
ジョン・ウンマー(フルート)
パブロ・カザルス(指揮)プラド祝祭管弦楽団
録音:1950年6月
● J.S.バッハ:トッカータとフーガ ホ短調
録音:1950年7月
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K.449
パブロ・カザルス(指揮)ペルピニャン音楽祭管弦楽団
録音:1951年7月
Disc2-3
● ショパン:夜想曲全集(全19曲)
録音:1955年1、2、9月
Disc4
● ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1956年4月
Disc5
● ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
録音:1957年9月
● ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 変ロ長調
録音:1951年3月
Disc6
● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1958年1月
Disc7
● チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1959年4月
Disc8
● ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1959年11月
● シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 Op.54
ブルーノ・ワルター(指揮)コロンビア交響楽団
録音:1960年1月
Disc9
● ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1965年2月
Disc10
● ベートーヴェン:三重協奏曲ハ長調 Op.56
アイザック・スターン(ヴァイオリン)
レナード・ローズ(チェロ)
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1964年4月
● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管弦楽団
録音:1966年12月
Disc11
● シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番ニ長調 D.850
録音:1969年6、9月
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 Op.53
録音:1959年12月(世界初発売)
Disc12(世界初発売)
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調 Op.78
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調 Op.27-2『月光』~第2楽章
録音:1960年4月
● ショパン:夜想曲第5番嬰ヘ長調 Op.15-2
録音:1966年3月、1967年4月
● ショパン:ポロネーズ 変イ長調『英雄』
録音:1967年4月
● ドビュッシー:『亜麻色の髪の乙女』
● ドビュッシー:『月の光』
録音:1968年3月
● メンデルスゾーン:無言歌『5月のそよ風』 Op.62-1
録音:1966年3月、1967年4月
● シューベルト:即興曲 Op.90, D.899~第2番、第3番
録音:1967年4月
● ストラヴィンスキー:ピアノ・ソナタ
録音:1966年3月、1967年4月
ユージン・イストミン(ピアノ)
2015年はこのピアニストの生誕90周年にあたる。2003には物故しているようだが、実はこの人について殆ど知らなかった。わずかにワルターとシューマンのコンチェルトで共演しているくらいというものである。それも評論にはワルターの完全支配下の演奏なんて書かれていた。日本では殆ど話題にならなかったのではなかろうか。いや、おまえが知らないだけと言われるかもしれない。
上のような経歴を読むとたいへんな逸材だったのである。そしてこの人も親世代がロシアからの移民だったというのも同世代のアメリカの音楽家にはありがちなことでもあった。どちらかというとトリオでの活動が主だったみたいなところはある。録音は1945年から68年にかけてであり、モノラル録音が半分、ステレオ録音が半分という構成。ことに初期の若い頃の作品が含まれているのが特徴。協奏曲の場合は初期のものはアドルフ・ブッシュやパブロ・カザロスとの共演もあるが、コロムビア専属らしく、オーマンディ&フィラデルフィアとの共演が多い。また件のワルターとのシューマンの協奏曲も入っている。バラエティに富んだ内容で普段あまりピアノ曲を聴かぬ身でも興味を感じた。ワルターやオーマンディとの共演盤は他にはあまりないので、オーケストラや指揮者の追いかけの貴重な資料にもなる。