これは、吉永小百合が映画デビューした作品として、文献的には有名だった。しかし、実際の映画を観る機会はなかなかなかった作品でもあった。
1時間くらいの中篇といったところで、おそらく添え物として公開されたようではあるし、監督の生駒千里もあまりよく知らない人だった。監督の登竜門として試験的に撮らせたものかもしれない。中味は勤労青少年の苦労話で、後年の「キューポラのある街」に近いものだ。吉永小百合は、主人公の少年を励ます顧客の娘役で登場する。まだ14歳で中学生だが、役柄も女生徒役の登場だ。まだ、十束一絡の扱いで子役の一人にすぎない。映画として可まおなく不可もなくといったところか。