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Channel: 趣味の部屋
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暴力団(小沢茂弘・東映東京1963年作品)

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   資料によると1963年8月7日に公開された作品。京都で時代劇を主に撮っていた小沢茂弘監督が東京に出向いて作ったギャングものである。一応、オリジナルのシナリオとなっているが、人物配置や構成が著しく黒澤明監督の「酔いどれ天使」に似ている。それはスラム街のユニーク医者に志村喬が扮しているからだ。そして、黒澤作品の真田医師同様にヤクザにも愛情を持っているが、外見上は突き放したようなキャラクターだからだ。梅宮辰夫扮する若いヤクザはご丁寧にも松永という苗字だ。黒澤作品へのオマージュかもしれない。

 後年の任侠もののような正義感のある人物とは違い、あまり颯爽としていない。主人公は最後にスラム街の若者や少年のヤクザへのあこがれを断ち切るために、わざと格好の悪い姿をされけだす。志村喬の医師の希望に沿うためにである。どこかもの悲しく、空しさは表現できている。ただ黒澤作品ほど強烈なインパクトがないのは、やはり脚本と演出の力量の差が如実に出てしまったという、これまたやりきれなさも残るのである。

暴力団

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