(DISC1)
①SF交響ファンタジー第3番
②二十弦筝と管弦楽のための交響的エグログ 野坂操壽(筝)
③ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ 山田令子(ピアノ)
(DISC2)
交響的頌偈「釈迦」
大植英次指揮 東京交響楽団・合唱団
2014.5.31 ミューザ川崎シンフォニー・ホール(ライヴ)
昨年はこの作曲家の生誕100周年で演奏会多く企画されたようだが、これもその一つ。このオーケストラは1946年に東宝の専属楽団として発足。当初は東宝交響楽団と言っていた。上田仁という指揮者が現代曲を積極的に紹介、日本人の作品も多く初演してきた。もちろん、伊福部作品もそうだった。また、東宝映画は作曲家として映画音楽に最初に採用してくれた会社で、この楽団とも深い所縁はあったようだ。
これらの作品は既に他の演奏で接していて、目新しいものはないが、それでもバーンスタインの下で研鑽を積み、海外でも活躍している大植英次の指揮で聴けるというのが魅力的に感じた。音楽を大きく鳴らす解釈で気持ちがいい。ここでは冒頭のSFファンタジーは別にして、映画音楽そのものの作品はない。最後の「釈迦」は同名の映画があって、音楽も担当しているが素材としては使われているものの、あの映画のためのものではない。キリスト教とは異なった仏教カンタータを目指したところは、弟子の黛敏郎の涅槃交響曲同様にユニークな発想だと思う。唯一映画関連のSF交響ファンタジー第3番だが、これらは戦時中の作品の断片があったりして、それがかなり悲壮な感じで響く。映画を離れて聴くと戦争で斃れた人々の鎮魂のように聴こえる。