CSの衛星劇場は「蔵出し映画」ということで、かなりレアな作品を放映している。これもその中の1本。主演は中野英治、三井秀男、逢初夢子といった面々で、どこか大船映画みたいだが、そうではなく、東京発声という独立プロの制作で東宝が配給したもの。監督の重宗務は戦後プロデューサーとして活躍した人で、重宗和伸の名も使っている。家城巳代治監督の「雲ながるる果てに」もこの人の手で作られている。またかつて参議院の議長を務めた重宗雄三は兄になる。
さて、映画は約1時間の短編である。船乗りである若い男は帰りを待つ母と妹のもとに帰ろうにも金がなくて、帰れない。船員仲間に金を巻き上げられてしまったからだ。やくざの男に助けられて、金を撮り戻すも、落命してしまう...。これがざっとした粗筋だが、1時間の上映時間にも拘わらず、テンポが悪く、至極退屈な作品であった。