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Channel: 趣味の部屋
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ストコフスキーのフィラデルフィア・ライヴ(1960年)

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(収録内容)
①ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
②ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕及び第3幕の愛の音楽(編曲:ストコフスキー)
レオポルド・ストコフスキー指揮 フィラデルフィア管弦楽団
Academy of Music,Philadelphia February 23,1960(Live)
 
 まず、こうした録音があること自体が驚きであり、しかもステレオ収録というのはなお驚きである。個人コレクターの音源らしい。
 
 ストコフスキーが約20年の空白を経て、フィラデルフィア管弦楽団の指揮台に登ったのは1960年で、この年の2月にCBSへセッション録音も果たしている。これは同時期の記録である。CBSへの録音内容とは全く別の曲目というのが注目である。
 
 最初のブラームスの第1番は冒頭から速いテンポで突き進む。電車の快速運転みたいなものだ。軽快が過ぎて重々しさに欠ける傾向にはあるが、これもこの人の解釈であろう。考えてみると、この曲をこの人の指揮で聴くのは初めてである。他の録音や演奏会でこのように速いかは知らない。フィナーレのトロンボーンのコラールはオルガンみたいできれいだ。そう、この人はオルガン奏者でもあったことを思い出した。
 
 もう一つのワーグナーは、「トリスタンとイゾルデ」の愛の場面の音楽を管弦楽だけで演奏するようにスコトフスキー自身がアレンジしたもの。第2幕は主人公二人のデュエットの部分そして最後は定番の「愛の死」の部分から成る。声楽がない分、シンフォニックな響きであるのが特徴。官能的な感じはよく出ていて、やはりオーケストラの魔術師と感心する。
 
 どちらもライヴながら完璧な演奏をするフィラデルフィア管弦楽団の実力に改めて舌を巻くアルバムだと思う。
 
 

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