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リムスキー=コルサコフ:歌劇『皇帝の花嫁』全曲

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『皇帝の花嫁』全曲 チェルニャコフ演出、バレンボイム&ベルリン国立歌劇場、コチェルガ、ペレチャトコ、他(2013 ステレオ)
  ソバーキン:アナトリー・コチェルガ(バス)
 マルファ:オリガ・ペレチャトコ(ソプラノ)
 グリャズノイ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ(バリトン)
 マリュータ=スクラトフ:トビアス・シャベル(バス)
 ルィコフ:パヴェル・チェルノフ(テノール)
 リュバーシャ:アニータ・ラフヴェリシヴィリ(メゾ・ソプラノ)
 サムーロワ:アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)
 ベルリン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 ダニエル・バレンボイム(指揮)

 演出・舞台美術:ドミートリー・チェルニャコフ
 衣装:エレーナ・ザイツェワ

 収録時期:2013年10月
 収録場所:ベルリン、シラー劇場(ライヴ)
 
  珍しいオペラだから目を惹いた。ただし、音楽はオリジナルだが演出は現代化の読み替えものである。最初はロシアの民族衣装を着た人たちが出てくるが、これはテレビ局の合成映像撮りのためのものということがわかる。本来は中世ロシアの宮廷が舞台だが、近未来のテレビ局に変わっている。また、このテレビ局は市民の思想統制の役割をしているようで、ジョージョ・オーウェルの「1984」を彷彿とさせるような感じだ。だが、本来は男女の愛憎劇であって、時代設定や舞台が変わってもたいした変わりはないと言えばそれまでだ。
 
 ここではバレンボイムが指揮するベルリン国立oの雄弁さは流石だ。ただし、肝心の主役たちの歌唱は声が震えて音程がしごく不安定。少々スタイルが古いのか。ただ、アン・トモワ=シントウが健在な姿を見せているのは、救いだった。岡田茉莉子みたいな雰囲気になっていた。やや歩行に不安があるようではあった。今や前奏曲や間奏曲はオーケストラの演奏だけを聴くのではなく、その間に映像やパントマイムで状況を説明する演出が多くなったような気がする。バイロイトに倣ったのだろうか。
 
 ベルリンのシュターツオーパーは今もベルリンの西にあるシラー劇場で公演を続けている。聞くところによると彼らの本拠地の改修作業は暗礁に乗り上げていて遅々として進まないという。ベルリンの市当局のお役所仕事が災いして、劇場改修だけでなく、空港整備も進んでないという。ベルリンに行くのに、国際線でミュンヘンやフランクフルトに下りて、国内線に乗り継ぐか、列車で行くしか方法がない。ドイツの首都だが、もっとも行くのに不便な首都ではなかろうか。

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