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Channel: 趣味の部屋
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ウォルトン/ロンドン・コンサート(生誕80周年記念)

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ウォルトン:
1. 戴冠式行進曲『宝玉と王杖』
2. ヴァイオリン協奏曲ロ短調            鄭京和(Vn)
3. オラトリオ『ベルシャザールの饗宴』      
トーマス・アレン(バリトン)
アンドレ・プレヴィン指揮 フィルハーモニア管弦楽団・合唱団
収録時期:1982年
収録場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ライヴ)

 これは、ウォルトンの死のちょうど1年前にロンドンで開催された、彼の生誕80周年記念の演奏会の様子を収録したものである。この人の誕生日は3月29日だから、その日あたりの演奏会ではなかったろうか。ファンの間ではこの映像の存在は知られていて、リリースを望む声もあったようである。指揮はイギリス音楽には造形の深いプレヴィンが担当、期待感は大きかったが、それを裏切らない名演であったことが確認できた。

 最初のマーチはエリザベス女王が即位する時のためのもの。このソフトでは当時の映像が挿入されるという心憎い演出がなされている。自分としては1937年のジョージ6世のための戴冠式行進曲「王冠」の方が好みではある。2曲目は韓国のチョン・キョンファのソロである。当時は破竹の勢いで世界で活躍していた頃の姿が見られる。終わった後にウォルトン自身が映るが、あまりその演奏を好まないふうに見えたのは気のせいか。その代わりメインの「ベルシャザールの饗宴」が終わると涙を流しながら拍手していた。その落差が興味深い。そのメインは実際に演奏されるところを目にするのが、これを入手した大きな要因だった。この手の作品は別にブラスバンドがあったりするが、これもその一例だった。ただ、意外だったのはアルト・サクソフォーンを使用しているのだ。やはりこうしたものは目で確かめるのもいいものである。

 ウォルトンは1948年にはナポリ湾のイスキア島に移住しているから、わざわざ出向いたのだろうか。かなり歩行はおぼつかない状態のように見えた。最後の感涙は、もうこれが公式に出てくる数少ない機会であることを知っていたからかもしれない。



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