ペッテション:交響曲第9番
アラン・フランシス指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団
録音:1993年8月9-13日
通販のカタログを見て、やや妖しげな感じの曲があるなとみつけたアルバム。ペッテション(1911-80)は名前は耳にしたことはあっても、その作品は聴いたもとがなかった。ちゃんとこうして録音があることを知った。調べると17の交響曲があるも、第1番と第17番は途中放棄してしまって断片しかないという。それでも第1番は、現代のトロンボーンの名手であり、指揮にも手を染めているクリスチャン・リンドベルイによって補筆完成されているようである。こういう作曲家の作品を録音するのは、母国のBISか、ドイツのCPOくらいしかない。事実この2社が録音している。
この第9番はCPO盤である。アラン・フランシスは、ミヨーの交響曲全集をCPOで完成させた指揮者で、こういうマイナーな作品をよく取り上げて録音してくれるありがたい存在なのである。今のところ、手許にはこの第9番と第6番しかないが、何か聴くと救いを感じられない音楽である。オーケストラがきしんで泣いているような作品。しかも楽章が分かれて切れ目があると思いきや、全て単一で延々と音楽が続く。この第9番もこの録音では69分52秒と記されているから、70分近く続く作品なのである。聴いていて沈み込んで行く気分になるから、体調によっては拷問状態になるのかもしれない。聴くのに骨は折れる。幸いCPO盤は区切りが付けてあるが、その表示が練習番号No.~の~小節前(or後)とか書いてある。こんな表示は初めてである。
ペッテションの生涯も決して明るいものではなく、病気ばかりをして最後は癌で他界してしまう。マーラーの没した年に生まれているのは偶然だが、ネクラという言葉では軽い感じがする。年代的にはホヴァネスやニーノ・ロータといった作曲家がいる。時代環境ではなく、あくまでこの人のパーソナリティなのだろう。