【収録情報】
①ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』(管弦楽編曲:セルゲイ・ゴルチャコフ)
②プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調 op.25『古典的』
クルト・マズア指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1986年 録音方式:ステレオ(デジタル)
ワーナー・クラシックスの廉価レーベル「Apex」が出したマズアのアルバム。廉価ゆえに英文の解説なども一切ないという素っ気ないものである。今回目を惹いたのは①の存在である。
リーフレットにはセルゲイ・ペトロヴィチ・ゴルチャコフと編曲者のフルネームが記されている。大きな編成のオーケストラへの編曲で、ラヴェルがカットしたプロムナードもそのままアレンジされて、入っている。今まで聴いた中ではアシュケナージ版やカイエ版に近い感じだった。最初はラヴェルのようにトランペットのファンファーレ風な冒頭だが、すぐに弦楽器によるコラールになるのはストコフスキーと同じ感覚かもしれない。「古い城」はアルト・サクソフォーンではなく、ミュート付トランペットやソプラノ・サックス。「ブイドロ」はホルン・パートが活躍と聴きなれた耳にはやはり新鮮に聴こえる。原曲に出来るだけ近づけようとうする感じはする。ゴルチャコフという人は1905年に生まれて1976年に没したモスクワ音楽院の作曲科教授というポストにあった人。ショスタコーヴィチとは同世代。この編曲は1954年に行われたもの。アシュケナージ版はこれを参考にしたのかもしれない。多くの打楽器やテューバも2本要求されているという。
このアレンジがレパートリーに残るのかは、わからない。やはりラヴェル版には敵わない感じはする。ラヴェルの偉大さを逆に感じてしまうのである。