ラフマニノフはビバリー・ヒルズの自宅で1943年に亡くなっている。亡命後、一度も故国の土を踏まないままの死去だった。望郷の念も強く、最後の作品の交響的舞曲はそうした思いが強く滲み出ていると自分は思っている。亡くなる直前に故国の土になりたいと希望したものの、時期が悪く戦時中だったので、その墓地はニューヨーク州ウェスチェスター、ワルハラという場所にある。今は夫人や娘も近くに埋葬されているという。
ところが最近、ロシアの文化相がラフマニノフの遺骸をロシアに帰したいと表明したという。これには関係者も困惑しているようだ。作曲家の子孫たちはその計画を何とか阻みたいようでもある。亡くなって70年以上も経過して今さら死人を起こすこともなかろうにと個人的には思う。おまけに妻子が近くに葬られているなら、なおさら不要なことと思う。ロシアは面子を通すのか。原文記事のアンケートは90%以上が「No」だった。ついでに自分も「No」に一票投じた。