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クルト・ヴァイル・エディション

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【収録情報】
Disc1-2
● ヴァイル:歌劇『マハゴニー市の興亡』全曲
Disc3
● ヴァイル:歌劇『ロシア皇帝は写真を撮らせ給う』全曲
Disc4
● ヴァイル:歌劇『クーハンデル』全曲
Disc5
● ヴァイル:歌劇『ハッピー・エンド』全曲

ジャン・レイサム=ケーニック指揮 ケルン放送管弦楽団・合唱団 
ケルン・プロ・ムジカ・ヴォーカル・アンサンブル他

 ブレヒトと組んだ大傑作『マハゴニー市の興亡』(1930)、ゲオルク・カイザーの台本に作曲したオペラ『ロシア皇帝は写真を撮らせ給う』(1928)、パリに亡命したのち書かれた政治風刺ミュージカル『クーハンデル(武器と牛)』(1934)、ブレヒトとの『ハッピー・エンド』(1929)を収録。
 これらの作品は1928年から1934年、ドイツ経済が上向いたもののナチスが台頭し始めて物騒な世相になりつつあった時代に書かれたものです。
 ヴァイルがブレヒトと出会ったのが1927年、成功を収めた『三文オペラ』の直前に書かれた『ロシア皇帝は写真を撮らせ給う』が1928年、ブレヒトらと組んだ『ハッピー・エンド』を書いたのが翌1929年、ナチスの公演妨害を避けてパリに逃れ『クーハンデル(武器と牛)』を書いたのが1934年ということで、激動の時代を生きたヴァイルの才能がフルに発揮されているのがこれらの作品ということになります。 (HMV)

 クルト・ワイルと言えば「三文オペラ」が有名だが、実に多くのオペラ、オペレッタ、ミュージカルを書いた人でもあった。これはその一端を示すもの。

 いかにも戦間期の妖しげな雰囲気を湛えた作品ばかりだ。それはオーケストラの編成にも関係があるのかもしれない。シアター・オケと呼ばれる小編成で、サキソフォーンとかパンジョーといった特殊楽器も使われていて、少しくだけた感じの響も大いに与っていると思う。きっちりとした歌劇場ではなく、どこかサロン風の音楽といった趣か。ナチスあたりが頽廃と烙印を押したのはこうしたものかもしれない。デッサウに生まれてベルリンで活動していたドイツ時代、後年共産圏だった旧東ドイツだったところが主たるところ、相棒のブレヒトが帰った場であることは何か暗示めいたものを感じる。晩年は亡命先のアメリカ合衆国で活動し、ここで死んだ。夫人のロッテ・レーニャは夫君の作品の保護や普及に努めたが、女優として「007・ロシアより愛をこめて」で悪の組織スペクターのNo.3の猛女役に出ていた。いやあとであの凄いばあさんがワイル夫人と知ったといったほうがよいかもしれない。




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