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日本の軍歌アーカイブス Vol.5 クラシック篇 戦時下の芸術音楽 1943

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『日本の軍歌アーカイブス Vol.5 クラシック篇 戦時下の芸術音楽 1943』< クラシック篇 >
①伊福部昭:交響譚詩
②ベートーヴェン:交響曲第9番・終楽章「歓喜の頌」(日本語歌唱)
③橋本国彦:交声曲 英霊讃歌 山本元帥に捧ぐ
①②山田和男指揮③橋本国彦指揮 ①②東京交響楽団(現:東京フィルハーモニー交響楽団)
②国立音楽学校、玉川学園;香山淑子、四家文子、木下保、藤井典明 ③東京音楽学校管弦楽団・合唱団;藤井典明
 
 まず、これは伊福部昭の交響譚詩の初めて録音である。かつて演奏に参加した当時は録音は発売されていなかったが、ビクターで録音されたということは資料で知っていた。これがそれだ。今でこそいろいろな録音はあるが、当時は映画館で彼の音楽を聴くのみという状態だった。また、演奏が契機でもっと聴いてみたくなったのだった。先日、NHKで箏曲にアレンジされた同作品を放映したが、その折にそのSP盤と音声が流れていた。今やっと身近に聴けるようになったのはありがたい。

 メインの伊福部作品は日本ビクターの管弦楽作品コンクールで第1席を取ったと記憶している。そして、録音もという運びとなったかと思う。この録音もかなり評価されて賞をもらっている。作曲者によると時節柄あまり編成が大きくならないように持ち替えで対処するように作曲したという。山田一夫も若い分かなりメリハリをつけて音楽を作っているようで好感が持てた。オーケストラはやはり今に比べたら粗い。民謡的なものをベースに作られているので、とても親しみやすい。
 
 その一方、あとの二つはちょっと珍しいもの。③に至っては今日全く忘れられた作品である。タイトルは軍歌とはなっているが、軍隊に直接関係のあるのはこれだけ。橋本国彦は戦後半ば公職から追放されたような状態で、悶々と過ごしていて、1949年には癌で亡くなっている。自分には童謡などでやさしいメロディを作った作曲家というイメージが強いのだが。
 
 この二つは決して同じ形では取り上げられないだろう。②は歌詞に違和感があるだけでなく、内容が日本語にも拘らず、内容が聞き取れない。発声の問題と小難しい文語文であることが災いしているように思う。そして、③はもっとも当時の時局に関与してしまった見本である。作品としても今聴くと魅力がない。言ってみれば、共産圏などの元首礼賛の歌に見られるような音楽的追従の域を出ない。③は今後取り上げられることは殆どないと思われる。
 

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