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Channel: 趣味の部屋
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点と線(小林恒夫監督・東映東京1958年作品)

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 この映画は割と名画座で上映された作品であった。そして、観客もよく入っていたように思う。以前から映画としては人気作だったようである。そしてDVDになるのも比較的早かった。
 
 上司役には堀雄二がやっていて、同年代の「警視庁シリーズ」のようでもあり、テレビの「7人の刑事」の雰囲気でもあった。刑事役には老練と中堅の俳優が配され、ビックなスターはいなかったが、地道な捜査の様子が描かれるには良かったように思う。その中で主演格の南広だが、元来は有名なドラマーだった。他の東映の東京撮影所で制作されたギャング映画なんかには酒場のバンドでドラムを叩くところが出ているのだが、こちらが本職だったように思う。その後は時代劇にも出演、中村錦之助主演の「宮本武蔵」では祇園藤次役などがあったが、あまり役者としては目立った活躍はなかったように記憶する。年代的には1967年の「殺しの烙印」に出演しているのが最も新しい彼の映画出演の姿だった。他は志村喬を始め、河野秋武、加藤嘉などが刑事役だったし、犯罪者側は山形勲、三島雅夫、増田順二といった面々。本作の一番のスターは主犯格の山形勲の妻役の高峰三枝子だろう。病床にあって、時刻表で旅した気分を味わうという女性で、題名はここらが由来だと思う。
 
 なお、列車の駅頭は国鉄という設定だが、東京撮影所近くの西武大泉駅を利用したという。犯行現場の海も横須賀あたりらしい。徹底して予算をかけない映画だったのかもしれない。映画ではC58も登場するが、八高線あたりものだったのかもしれない。

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