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Channel: 趣味の部屋
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浮気の季節(阿部豊・日活1959年)

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 阿部豊監督というと戦時中、東宝で戦争映画を多く撮っていたイメージが強い。しかし、無声映画などは結構洒脱な作品が多かったようだ。ただし、それらの多くは現存していないものが多いので、確認できない。そして戦後の活動については、あまり注目していなかったのだが、1960年前後まで主に日活で喜劇やメロドラマなんかを撮っていたのが最近確認できた。これはその中の1本。
 
 CSのNECOで放映されたいたものだが、夭折のスターだった赤木圭一郎が唯一出演したコメディなのだそうである。赤木と喜劇はなかなか結びつかない。当然彼が主演ではなく、ベテランの益田喜頓が中心のホームコメディ作品である。3人の娘と暮らす定年前の人事課長が主人公。そこの会社の社長は、かなりのワンマンで思い込みの激しい人物。人を表面的に見て、評価を下すような男である。ここらあたりは、お家騒動で揺れる某社の会長を想起させる。赤木はそのワンマン社長のドラ息子という設定。最後は全て丸く収まるという定石通りだが、勢いのある当時の世相を覗けて面白い。今や再開発で変貌著しい渋谷駅のハチ公交差点あたりの界隈もタイトルバックに出てきて、それを観るだけでもいい。

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