リチャード・フライシャー監督の初期に属する作品。ディズニー・プロで撮った有名な「海底二万哩」の直後にあたる作品である。4人の男が銀行強盗をたくらむが、その街に暮らす人たちの生活や交流が同時並行して描かれる。むしろそれらの人間模様に重点が置かれていると言っていい。
事業継承のプレッシャーに悩む二世経営者と不倫をしている彼の妻、その部下で息子の教育に悩む管理職の男、標的の銀行支店長や彼が意識するセクシーな看護婦。それに郊外に住むアーミッシュの一家。それぞれバラバラの存在が銀行強盗の一件で結びつく。その構成力は大したものと感心した。強盗役の中でリー・マーヴィンの冷酷非情さが目立つ。容赦なく人を撃つ。気に入らねば少年であろうと暴力でのしてしまう凶暴さが目立つ。アーミッシュの主人はアーネスト・ボーグナインで数年後「北国の帝国」での対決を彷彿とさせるシーンがあったりして面白い。管理職役のヴィクター・マチュアはこうした現代劇は意外と珍しく感じる。史劇ものが多い印象の俳優だが、決然として男らしいところを見せてくれる。
リチャード・フライシャー監督はあまり巨匠というイメージはないが、職人風の手堅い感じの作品の多い人でお気に入りの監督の一人である。