藤田まことが主演した大阪を舞台にしたコメディ。東西の喜劇俳優が集合した作品で、ずいぶんと懐かしい顔ぶれもいる。そして、鈴木則文監督は本作を以てデビューを飾っている。中味は葬儀社の「公益社」の創業時の苦労を扱ったものである。駕籠ではなく自動車による霊柩車を考案して、葬儀の近代化の話。
藤田まことに対して、その義父役の曾我廼家明蝶の演技を久しぶりに観た。新喜劇流の人情話を得意とするこの俳優は今観るとやや大げさな所作はあるものの、観る者をホロリとさせるところは懐かしいし、流石だと思った。妻役の藤純子もまだ純情そうに見えるし、長門裕之、大村崑それにクレージーキャッツの谷啓や犬塚弘も出て東西混合の配役は楽しい。商売敵の阿部九州男が時代劇とは違った味で熱演しているのも楽しい。