①「銀嶺の果て」組曲
②「国鉄」組曲
③「ゴジラ」組曲
④「海底軍艦」組曲
⑤「地球防衛軍」組曲
⑥SF交響ファンタジー「ゴジラvsキングギドラ」(抜粋)
齊藤一郎指揮 オーケストラ・トリプティーク
これは伊福部昭生誕100周年を記念して、2014年の2月にすみだトリフォニー・ホールで行われたコンダートのライヴである。曲目は全て映画音楽のためのものでそれぞれ組曲として演奏されたもの。最後の曲はアンコールとして演奏されたもののようである。
題名を見て、懐かしく思われる向きもあろうが、映画につける演奏のスコアを使っての演奏というのが、まず「売り」だったようだ。だが、そういうものがよく残っていたなというのが、まず驚きだ。一般的に映画会社は楽譜が用済みになれば、だいたい廃棄処分にしてしまう。日本はわからないが、権利関係のうるさいアメリカではまず焼却処分になる。他での再演を望まないし、映画に帰属するということで、他で勝手に演奏させないということがあったのかもしれない。だが、ここにある諸作の映画音楽は作曲家の手許にあったのだろうか。
そして、実際聴いてみると、やはり映画のサウンドトラックに収録されたものとは若干異なって聴こえるのだ。録音状態がいちばん大きな差異要因だが、それだけでない。抜けがよすぎるというか、洗練しすぎて聴こえる。もっと泥臭い方が好みなのだが、あまりそうではない。オリジナルの音源よりは遥かに演奏者の技量はこちらの方が上だろう。だが、おとなしいのである。①などはもっとピアノが派手にグリッサンドをしていたように記憶する。後であれは芥川也寸志が担当していたという。③などもこちらの方が正確に演奏しているようだが、何か物足らない。演奏者の共感の度合いがあるのかもしれない。このアルバムはそんなところが気になった。