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Channel: 趣味の部屋
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弁天小僧(大映京都1958年)

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 河竹黙阿弥の「青砥塙花虹彩画」、通称「白波五人男」の映画化。歌舞伎ではよく知られた演目だが、悪事の限りを尽くした弁天小僧菊之助が町娘の清純に打たれて、最後は商家の窮状を救う話である。その商家の主と娘は実は...。そういう伏線もありながらの、重厚なセットをバックに絢爛に伊藤大輔監督が捌く。伊藤監督得意の移動撮影や、監督のトレードマークの「御用提灯」も多く登場。テンポも小気味いい。これが東映に移ると、やたら力んだ作風になってしまったのは残念である。
 
 撮影の宮川一夫をはじめ、スタッフも一流そろい。その宮川が御用提灯のシーンの種明かしをしていた。実は同じエキストラを右に左に走らせて撮ったのだという。御用提灯を如何に多くあると印象付けるかは、スタッフの手腕だったのだろう。1958年と言えば、映画人口がピークに達した時代。そういう活気ある頃の作品である。

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