伊福部昭
①日本狂詩曲(校訂版)
②シンフォニア・タカプーラ
③SF交響ファンタジー第1番(アンコール・バージョン)
和田薫指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 2014.7.13 東京オペラシティコンサートホール
和田薫は伊福部の教え子の一人で、アレンジや作曲で活動している人だが、今回は楽譜の誤植などを訂正したクリティカル・エディションで、師匠の出世作を演奏している。高関版よりは、①などはかなりアグレッシヴな演奏のように聴こえた。もともとはヴァイオリンと打楽器のために構想したものらしい。コンクールの折、審査員の一人ルーセルが打楽器が多すぎて、他の楽器が聴こえないのではないかと指摘したという。しかし、伊福部の考え方は管弦楽器は付け足しで、打楽器が主体の音楽と伝え聴いて、喜んだといわれる。このエピソードは初めてしった。しかし、ご本人が自分の作品が聴かれるようになったのは、ロック音楽の流行と関連あると指摘していたのと何か符号するものを感じる。
最後のSF交響ファンタジー第1番のアンコール・バージョンとは、約7分間に短縮したものである。冒頭と最後を接続したような構成だが、違和感のないのはファンタジーたる所以だろう。その最後のところはむちろん東宝の怪獣映画やSF映画につけられた音楽なのだが、戦時中の伊福部作品から転用らしきものが聴こえる。こうした映画が戦争体験に何か関連があるという示唆なのであろうと思う。