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伊福部昭の芸術Vol.10

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伊福部昭
①管弦楽のための音詩「寒帯林」
②日本狂詩曲
③土俗的三連画
高関健指揮①東京交響楽団②③札幌交響楽団
 
 2014年は伊福部昭の生誕100周年。以前、9つのアルバムをキングレコードはリリースしていたが、新たに3つのアルバムが追加リリースされた。これはVol.10に相当するもの。
 
 まず①は長らくスコアが行方不明になっていた。1945年に旧満州の新京(長春)で初演されたものだから、無理もない。どうやら中国にあるらしいのだが、返却にはならない事情があるようだ。ただ、幸いにも写しが作曲者の遺品の中にあったので、蘇演できたらしい。既に他のレーベルでCDになっている。これは2種類目になる。さて、中身は冒頭からどこかで聴いたような音楽である。怪獣映画ではなく、普通の映画だったと思うがなかなか思い出せない。たぶん、「ビルマの竪琴」ではないかということに行き着いた。水島上等兵に現地の僧侶が諭す場面。「日本軍が来ようが、イギリス軍が来ようが、ビルマは、ビルマだ」という台詞があったシーン。何か人間が思いを巡らすシーンに使われていたように思う。また、「ゴジラ」のタイトルバックの音楽の原型のようなフレーズもある。これらは林務官をしていた経験で、満州の森林を見て、着想したものらしいが、故郷の北海道の森林も同時に思い浮かべていたのだろう。行方不明だから、機会がある度に映画の音楽にも使っていたのかもしれない。
 
 ②③については他の録音との比較になるが、②はやや重たい演奏になってしまっていて、ちょっと残念。③は管楽器殊にトランペットの音色がやや品位に欠けているように思われて、好みの演奏ではなかった。

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