CSの映画劇場のプログラムを眺めていると、珍しい作品に遭遇する。これもその一つ。新東宝が大蔵貢を社長に迎えて取った路線はエログロと奇抜企画だった。これはそうした流れの一つと理解していたが、実際観てみると、題名ほどグロテスクな内容ではなかった。主役は憲兵だが、純粋に捜査ものである。ただし、死体を放り込んだ井戸の異常さに気付かない軍隊とはちょっとおかしな部分もある。
配役を見ると、後年、国際放映で製作された多くのテレビドラマに登場した俳優たちが揃って出ている。主役の中山昭二などはその代表格だ。また戦前子役として出ていた小高まさるも長じて新東宝で俳優活動をしていたのを確認できる。