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Channel: 趣味の部屋
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プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」(ローマ国立歌劇場:EMI)

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【収録情報】
・プッチーニ:『トゥーランドット』全曲
 ビルギット・ニルソン(S:トゥーランドット)
 フランコ・コレッリ(T:カラフ)
 レナータ・スコット(S:リュウ)
 アンジェロ・メルクリアーリ(T:皇帝)
 ボナルド・ジャイオッティ(Bs:ティムール)
 グイド・マッツィーニ(Bs:ピン)
 フランコ・リッチャルディ(T:パン)
 ピエロ・デ・パルマ(T:ポン、ペルシャの王子)
 ジュゼッペ・モレーシ(Bs:役人)
 イェーダ・ヴァルトリアーニ(S:第1の声)
 イーダ・ファリーナ(S:第2の声)
 ローマ国立歌劇場管弦楽団&合唱団
 フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ(指揮)
 録音時期:1965年
 録音場所:ローマ国立歌劇場
 録音方式:ステレオ(セッション)
 
 この演目も当初は映像ソフトのみに限定しようと思っていたが、やはり往年の演奏に興味を持ってCDとしてはカラヤン盤に続く2つ目のものとなった。やはり、タイトルロールをワグネリアンのドラマティック・ソプラノのビルギット・ニルソンがやっているのが注目点だ。ただし、彼女にとってこのオペラは2度目の録音である。やはり、ローマのアンサンブルで、指揮がエーリヒ・ラインスドルフだったRCA盤がある。
 
 さて、イタリア・オペラでワーグナーを歌うドロマティック・ソプラノを使ったことは、たいしたものだという評価をどこかで読んだことがある。イタリア・オペラに新しい風を吹き込んだということだろう。新境地を開いたものの、未完成のままでこの世を去ったプッチーニは無念だったろう。ただ、リューが自決した直後から、何かとってつけたような大団円は納得しがたいものがある。プッチーニ本人もどう始末をつけるかかなり悩んだのではなかろうか。初演の時にトスカニーニはプッチーニが完成したところまでだけを初日に演奏して、「作曲者はここで筆を置きました」と聴衆に向かって述べたそうだが、それも一見識のように思う。補作したアルファーノには申し訳ないが、やはり格段の差がある。モーツァルトのレクイエムと同じような評価だ。トスカニーニは補作部分が気に入らず、ばっさりカットしてしまったという。それが慣習になってしまい、よく芝居の展開もわからないようなことになっているらしい。ここではその補充部分がやけに短いように感じる。アルファーノ版の完全版蘇演も計画されていると聞くし、ルチアーノ・ベリオのユニークな版も存在する。

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