①リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェーラザード」 1980.10.17 東京厚生年金会館
②ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」 1980.10.23 東京文化会館
③ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」 1980.11.1 日比谷公会堂
マルケヴィチは日本フィルのために4回ほど、来日しているという。これは最後の4回目にあたる。なお、亡くなる直前の1983年1月にはNHK交響楽団と東京都交響楽団を指揮するために来日、前者はその映像がソフト化されている。後者はそのワーグナー・プロを生で接しているので、自分には思い出深いものであった。
さて、①は名曲コンサートとしてのメインで演奏されたもの。前プロにブラームスのハイドン変奏曲やビゼーの「アルルの女」の音楽が演奏されたようだ。これらも収録して欲しかったのだが、了承が得られなかったのかもしれない。演奏はどうなんだろうと思ったが、意外や豊饒な音を引き出しているのは、厳しい薫陶があったればこそだろうか。後の二つは定演で並べて演奏されているが、違った機会の演奏の収録は何らかの関係者の意思が働いているのかもしれない。
日本フィルはスポンサーの放送局から見放され、また方向性の違いから分裂してしまったオーケストラだった。当時も苦しい運営が続いていたと思うが、それを乗り越えて今も立派に活動しているのは敬服に値する。こういう巨匠の指導を受けたことも大きな財産だと思う。彼らの再建の道のりを描いた映画も作られたのを思い出した。