これは曰くつきの録音として有名なもの。以前、LPで持っていたものの、売却処分してしまった。なかなかCDもされず、諦めかけていたところ、テスタメントが復刻してくれた。
当時、EMIのイタリア・オペラの看板はマリア・カラスだった。しかし、これだけはアンットニエッタ・ステッラを起用している。買った当時は裏事情は全く知らなかったが、友人から教えてもらった。買った時はカラスが出ていないのがポイントだった記憶がある。カラス・ファンの方にはたいへん申し訳ないが、カラスの声はどうも好きになれないところがあったためだ。悲劇のヒロインとしては、ステッラの方が合うような気もする。
英文の解説の冒頭は何故このような録音をEMIは実施したのかに割かれていた。要する契約に関連した行き違いなのだが、そこは感情が絡んで割を喰ったセラフィンはEMIから追われる形となってしまった。その後、ステレオ時代はデッカでオペラの録音に携わっているのは、それが契機だったと知る。