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Channel: 趣味の部屋
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バレンボイムのブルックナー&ロジェストヴェンスキーのRVW

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 ともに交響曲全集でそれぞれ独立した記事を掲載した。その当時は全てを聴いておらず、事実の羅列的な要素が多かったが、今どちらも全て一通り聴き終えた状況だ。
 
 どちらも「正統性」という言葉を当て嵌めるなら、やや脇にそれたような全集なのかもしれない。中にはそういう演奏を聴くのが間違いと言われるかもしれない。しかし、作曲者と演奏者・指揮者との出会いがどうなのか、聴いてみたくなるのも音楽を聴く楽しみの一つではある。適正が間違ってきるとか、そんなことはどうでも良いとさえ思っている。
 
 さて、まずバレンボイムによるブルックナーだが、交響曲以外に声楽曲も収録されていて、それらが興味の対象でもあった。殊に「ヘルゴラント」という他にはあまり録音のないものが入っているのも魅力だった。そして、この曲はブルックナーが最後に完成させた曲なのだそうだ。平和に暮らしていた島にローマ人が攻めてくることがわかる。来れば財産はあろか殺されてしまうのは明白。島民たちは天を仰いで祈ると神風が吹いてローマ船を尽く海底に沈めるという内容の詞。この作曲家にしては珍しく描写的でドラマティックな内容の作品で、驚きだった。こういう出会いがあるから堪らない。また第0番やリンツ版の第1番、エーザー版の第3番と通常とは異なる版での演奏も面白い。ただ、時折アッチェルランドをかけたりするので、その分スケール感がないのと、音が軽く聴こえてしまうという難点はあった。
 
 次に、ロジエストヴェンスキーによるヴォーン=ウィリアムズの交響曲全集。こちらは9つの交響曲のみ。演奏は旧ソ連のアンサンブル。ソヴィエト国立交響楽団はロシアものではよく聴いたオーケストラだが、彼らがどういう演奏するのかが興味だった。指揮者の方はイギリスでRVWを取り上げていたので、得意としていたのであろう。蓋を開けてみると、まずテンポがおそろしく遅い。演奏者の方が慣れていないので処置なのかはわからない。もっと軽快に弾んで欲しいところも重たいのである。また演奏も幾分粗めではあった。「海の交響曲」はロシア語歌唱かと心配したが、どうやら英語のように聴こえる。ただし録音状態からあまりはっきり言葉が聞き取れない。
オーケストラの楽員が共感を持っていたろうか、とちょっと首を傾けたくなるような内容ではあった。
 
 

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