これは、リメイク作品である。既に大映はこの13年前に豊田四郎監督を起用して高峰秀子主演で映画化している。前作も本作も成沢昌茂の脚本であるから、基本的な構成は大きな相違はない。本作は京都撮影所で時代劇を撮っていた池広一夫監督が珍しく東京撮影所に出向いて演出したものだ。
さて、やはり監督の資質の違いが如実に出ている。豊田監督が人情の機微を丹念に描き、明治の雰囲気がよく出ていたのに対して、本作はお玉の心持が中心で明治の雰囲気よりも女の情念が主眼のような感じだ。最も異なるのがラストだ。前作はヒロインが茫然と雁が飛び立つのを見ているのに比し、本作では心残りはあるもまた妾宅の玄関に入ってしまうところでエンドである。要するに諦めて妾に甘んじるということをかなり直截な描いている。池野成の暗い音楽が輪をかけて絶望的な気分になる。前作が團伊玖磨でややほのぼのとはしているものの、どこか悲しげな音楽とはかなり差がある。
そこが映画の面白さではないかと思う。