ムラヴィンスキーによるチャイコフスキーの交響曲第5番は数種類もあり、今更ながらという感じもしたが、本国内の演奏ではなく、ウィーン兵術週間での1978年6月のライヴというのが目を惹いた。グラモフォンから1960年のウィーンで録音されたものがあるが、あちらはセッションで今回はライヴだ。
正直やりたい放題やっている感じで、他の指揮者による解釈とは違った印象を受ける。他の指揮者ならインテンポで通過する箇所もテンポを落として、見栄を切るような感じがあるのは面白い。この人の他のライヴ録音でも同じことやっているのかもしれないが、この録音ではそこが特に印象に残った。といって力任せ爆演でもない。行政の監視もない分開放的な感じも受ける。夫人所有のアーカイヴズが音源のようだが、ジャケットのラフな服装の寛いだ感じはそのまま演奏の象徴しているのかもしれない。