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TBSによる東京交響楽団ライヴ録音から

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【収録情報】
・ファリャ:バレエ組曲『三角帽子』より3つの舞曲
・ヒナステラ:バレエ組曲『エスタンシア』より『マランボ』
・ハチャトゥリアン:バレエ組曲『ガイーヌ』より(子守歌/剣の舞)
 東京交響楽団
 アーサー・フィードラー(指揮)
 録音時期:1961年11月8日、20日
 録音場所:東京、厚生年金会館ホール

・ハチャトゥリアン:バレエ組曲『ガイーヌ』より(剣の舞/子守歌/バラの少女たちの踊り/レスギンカ)
 東京交響楽団
 ヴァーツラフ・スメターチェク(指揮)
 録音時期:1961年2月14日
 録音場所:東京、文京公会堂

・プロコフィエフ:交響曲第7番嬰ハ短調 op.131
 東京交響楽団
 ニコライ・マルコ(指揮)
 録音時期:1959年12月11日
 録音場所:東京、目黒公会堂

 録音方式:モノラル(ライヴ)
 SACD Hybrid
 CD MONO/ SACD MONO
 
 クラシックはNHKの専売かと思ったら、さにあらずといったことを如実に示してくれるシリーズ。黎明期の民放もクラシックに関わっていた。これらはTBSが遺しておいてくれた貴重な音源だ。
 
 当初はニコライ・マルコがプロコフィエフの第7番を振るということで着目した盤だが、他にアーサー・ファードラーやヴァーツラフ・スメターチェクの指揮したものが入っていて驚いた。くしくも「ガイーヌ」の有名な子守歌と剣の舞は二人の指揮の比較ができるようになっている。フィードラーの方がオーソドックスに聴こえたし、スメターチェクは手を入れて変更しているようにも聴こえた。
 
 さて、そのマルコだが、ショスタコーヴィチのデビュー作というか卒業成果課題作として提出された交響曲第1番を初演した人だ。レニングラード・フィルを1928年まで常任として指揮し、同時に音楽院の教授として後進の指導をした人だ。しかし、その経歴を見ると行政の締め付けに嫌気をさして、海外に出て欧米で指揮していた。この来日は唯一のもので当時はシドニー交響楽団の音楽監督をしていたらしい。この演奏の2年後にシドニーに没している。
 
 モノラルながら割と鮮明に聴こえるし、当時の東京交響楽団からいい響きを引き出している。このプロコフィエフの第7番は明るい作品というイメージだった。他の演奏ではそう聴こえた。しかし、マルコの解釈は何かほの暗いものを感じる。冒頭のテーマも決して晴れやかでなく、何か悲しみのようなものがあるのだ。別の解釈を示してくれたことに感謝したい。

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