収録曲目
CD1①交響曲第1番ヘ短調作品10
②交響曲第12番ニ短調作品112「1917年」
CD2①交響曲第2番ロ長調作品14「十月革命に捧ぐ」
②交響曲第10番ホ短調作品93
CD3①交響曲第3番変ホ長調作品20「メーデー」
②交響曲第15番イ長調作品141
CD4交響曲第4番ハ短調作品43
CD5①交響曲第5番ニ短調作品47
②交響曲第6番ロ短調作品54
CD6交響曲第7番ハ長調作品60「レニングラード」
CD7交響曲第8番ハ短調作品65
CD8交響曲第11番ト短調作品103「1905年」
CD9交響曲第13番変ロ短調作品113「バビ・ヤール」
CD10①交響曲第9番変ホ長調作品70
②交響曲第14番「死者の歌」
CD11①ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調作品77
②ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調作品129
CD12交響曲第13番変ロ短調作品113「バビ・ヤール」 1962.12.20(ライヴ)
キリル・コンドラシン指揮 モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
CD2①;CD3①;CD9;CD12:アカデミー・ロシア共和国合唱団
CD9:アルトゥール・エイゼン(バス) CD10②エフゲニア・ツェロヴァニク(ソプラノ)、エフゲニー・ネステレンコ(バス)
CD11①レオニード・コーガン(ヴァイオリン)②ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)
CD12:ヴィターリ・グロマツキー(バス)
ロシアの「Vinezia」というレーベルからリリースされたキリル・コンドラシンによるショスタコーヴィチ交響曲全集である。何回かメロディア・レーベルとして国内盤にもなっていたものだが、いつの間にか入手困難になっていたところこれはありがたいBOXである。しかも、価格も手頃なものになっているからうれしいし、2つのヴァイオリン協奏曲と第13番の初演直後のライヴ録音というおまけまでついている。後者のみ放送音源でモノラル収録である。
最近、コンドラシンは亡命前後に出演したバイエルン放送交響楽団やアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と共演したものがリリースされている。そのレパートリーの広さに驚嘆するとともに、彼の知られない面がわかって喜んだものだ。
ヴァン・クライバーンの凱旋帰国に一緒にアメリカに渡り、協奏曲で共演したり録音したり、またピックアップの楽団とロシアものの録音したものは知られていたが、本国での活動は限られたものしかなかった。たまに手兵を率いて来日してくれて、演奏は披露してくれたし、その録音も残ってはいる。そして手掛かりはこうした録音ものである。これはその代表的なものだ。
第13番は反体制的な内容で、政府はその初演を阻止しようと圧力をかけたことで有名である。初演歌手が次々とキャンセルされるなか、上記のヴィターリ・グロマツキーが歌うことになったという。ここに収録されているのは初演2日後、再演された折の放送音源だ。
こうした作曲者と同時代の記録が手許で聴けるという幸せを大いに噛みしめているところである。ただし、挿入されているリーフレットは曲名のみ英文表示がある以外は、写真説明も全てロシア語表示で何が書いてあるか、一向にわからない。