1886年のインドとアフガニスタンの国境へと転送される。イギリスの統治への反乱をおこす原住民の集団とイギリス軍の攻防を描く。放映当時、オリエンタリズムに溢れるロマンティックなエピソードとして絶賛されたという。しかし今観るといろいろと異論をさしはみたくなるのも事実。ここは今も政治的に複雑で旧ソ連もアメリカも手こずった地域でもある。二人を助ける若者は後にノーベル文学賞を受けるジョセフ・キップリングであるというのも面白い。
言うまでもなく、原住民の族長は血も涙もない冷血漢に描かれている。その族長ヒラ・シンを演ずるのはマラチ・スローンという俳優。ふてぶてしい顔つきは一度見たら忘れられない。「宇宙大戦争」(スター・トレック)の唯一前後篇になる「タロス星人の幻怪人」でも同じようなアクの強い役柄に扮していた。
なお、当初は「マルコポーロの謎」という副題が付いていた。しかし、マルコポーロが登場するエピソードは後半にあって、NHKがとり違えたようである。また、再放送でそれは訂正され、かつ「土民」という差別用語を回避して、原題を訳した「長い刀の夜」に改題されている。