東映チャンネルの概要には、梅宮辰夫の「夜の青春シリーズ」の第3弾とあった。少なくとも関川秀雄監督の手で「ひも」「かも」と本作の3つは確認している。
この作品では、暴力団の組員の男が、突然の組の解散で思いついた美人局で稼ぐという悪徳ものである。裏の社会構図をスタイリッシュに仕上げているのだが、それを関川秀雄監督が手掛けているのが意外な感じがした。東宝争議によってレッドパージとなり、独立プロを根拠に活動、山本薩夫監督などとは同志であった社会派監督だった。その後東映に専属し、学校向けの児童教育映画も手掛けていた。そういう経歴の監督によるやくざ映画なのだ。社会の裏面を描くという意味では、社会派の面目躍如ということかもしれない。
90分にも満たない中篇だが、見応えは十分ある。