1876年にカスター将軍がインディアン戦争のさなかに戦死した経緯を描いたエピソードである。原題は「大虐殺(Massacare)」である。何をもってそういうタイトルなのか、きっと白人部隊が全滅したことを指すのかもしれない。
従来の西部劇ではアメリカの先住民を敵役にし、頑迷固陋な遅れた種族という蔑視めいたものあった。しかし、ここでは、白人のトニーが彼らに「兄弟」と呼びかけているのが注目点である。もちろん1968年の人間で民主教育の下に育ったのでそう言わしめるのだろうが、こういうドラマで描くの当時としては異例ではないかと思う。確かに制作の1966年当時は西部劇は衰退し、マカロニ・ウェスタンが流行っていた。よりリアルな描写に傾向が移っていた。そして3年後「ソルジャー・ブルー」という完全に白人が悪いことを描いた作品が登場となる。それに先立っているのである。カーク所長が「どっちが野蛮人だか、わかったものではない」と嘆くのはその象徴。しかし、一方で先住民出身の学者が「どちらにも野蛮人はいたのですよ」と切り返す。そうだと自分も思う。
当時はキング牧師など人種に関わらず全て平等ということがしきり言われていた。そういう時代の雰囲気をも反映しているということではないかと思う。