鶴田浩二の映画の1本として、やっていたので観る機会を得た。資料によると1962年1月9日に公開された戦争映画。監督は「早撮りの名手」の渡辺邦男監督。棚田吾郎との共作のオリジナル・シナリオによるようだ。したがって、深い内容は期待していなかった。
一応ソツなくこなした1本というところだろうか。鶴田浩二が出演者のトップにクレジット、最後の締めは高倉健がクレジットそれぞれ一枚看板の表示。しかし、中味は、梅宮辰夫、千葉真一、水木襄の若い士官たちのエピソードが中心となるので、純粋に鶴田浩二の映画にはなっていない。そして、梅宮扮する士官が当時としてはかなり合理的な人間として登場しているのが異例だった。だが、ここまでの行動が出来た人間がいたのだろうか、と疑問にも思った。特攻隊員として、死をどう捉えているのか、少々美化してはいないか、そんな思いに駆られた。死地に行く者と残される者の交差はほぼ型通りで、そこには戦争についての深い考察などは感じられない。合理的な士官と兵学校の教育を受けたエリート士官との対比がもっと深まったらと思った。
鶴田&高倉の出演映画ながら、割と地味な印象である。