午前十時の映画祭9の1本として上映されているのに足を運んでみた。溝口健二監督作品をデジタル上映で鑑賞するのは初めてだった。作品はこの監督の晩年の代表作の一つであるので、改めては論評しない。
この作品はビデオ普及前の時代は名画座でよく上映されていた。しかし、いつも英語字幕がついていて、見づらい状態だった。フィルムセンターのプリントは輸出版らしく、英語で概要説明があって、本編も英語字幕付きでなお条件が悪かった。辛うじて16mmプリントやテレビ放映はそういうものはなかった。またビデオソフトもほぼオリジナルに近いものだった。何とか字幕のない状態でスクリーンで観たいものと思っていたところだった。
最近はこうしていい状態で旧作を鑑賞できるありがたい時代になった。同時にデジタル化されていない作品は観る機会が減るのでは、と懸念も増える。