1972年1月に収録されたカラヤン&BPOの録音。この曲はバーンスタイン&LSOを皮切りにいろいろな指揮者の録音が集中してしまった曲で、もうこれで打ち止めにしなければと思っているのだが、帝王カラヤンはどんな音楽を展開するのだろうと、またまた屋上に屋を架したような状態である。
ミレッラ・フレーニ、クリスタ・ルートヴィヒ、カルロ・コッスッタ、ニコライ・ギャウロフそしてウィーン楽友協会合唱団が共演している。テノールのコッスッタのみ馴染みがない歌手だが、後はカラヤンの録音の常連。コーラスはカラヤンが指導していた団体。
いろいろな指揮者との比較ということになるが、意外とおとなしい演奏という印象だ。「怒りの日」もたとえばジュリーニとかトスカニーニなんかに比べると、ソフトな感じ。やたらと力まないというのがこの人の解釈なのかもしれない。死者が必然的に審問に集合するということなのだろうか。あまりドラムを大きく響かせると、物々しすぎるということかもしれない。テンポもややゆっくりした運びは、「死者への配慮」ということなのだろうか。この作品は時としてオペラのようになってしまう演奏になりがちだが、カラヤン盤はそうした演奏ではなかった。