フランコ・アルファーノ(1875-1954)というとプッチーニの歌劇「トゥーランドット」を補筆完成させた人くらいしか認識がない。更に云うとこの仕事で名声が上がったかと云えば、必ずしもそうではない。初演の指揮者トスカニーニに批判されてしまい、むしろマイナスの評価になってしまったという悲運の人のイメージが強い。彼に白羽の矢がたったのはインドを舞台にした「サクンタラ」というオペラを発表していたかららしい。異国情緒あふれる舞台だから、何となく中国舞台の作品でもゆけるのではというだけのことだったということだ。それにプッチーニとは少し年齢は離れているが、友人でもあった。
当然彼も補筆だけではなく、いろいろな作品をものにしている作曲家だったはずで何かないかということで、ヒットしたのが「サクンタラ」の他にはこのシラノ・ド・ベルジュラック」という有名な話をオペラにしたものがあった。イタリア語でもフランス語でも歌唱できるように作られているらしいが、映像ソフトではフランス語上演だった。しかもタイトルロールはドミンゴである。バレンシアの歌劇場のアンサンブル。これが割りと見ごたえのある作品で、オケもうまかった。舞台は割と抽象的なものではあったが、妙な現代化の読み替えもなく、装置・演出もよかった。2007年の上演記録。
実は当初DVDを発注したところ第2幕の第2部の前半でフリーズ状態になってしまった。発売した店に症状を訴えると了承してくれて代替えを依頼したところメーカー在庫も全て同じ症状のある欠陥品であることが発覚した。あきらめかけていたところ、他の店舗でBDを扱っていて取り寄せたら、何の瑕疵もなかった。こういうことがたまにあるので、早めの「検品」は欠かせないと改めて思った。
以下、配役と演奏者を記す。歌の特性表示のないものは語り役である。
アルファーノ:歌劇「シラノ・ド・ベルジュラック」(仏語歌唱版) 2007.2.8,11&18 ソフィア王妃宮殿、ヴァレンシア(L)
演出・装置:ミハウ・ズナニエツキ 衣裳:イザベル・コンテ 照明:ボグスラフ・パレウィツ
プラシド・ドミンゴ(T:シラノ・ド・ベルジュラック)
ソンドラ・ラドヴァノフスキー(S:ロクサーヌ)
アルトゥーロ・チャコン=クルス(T:クリスチャン)
ロッド・ギルフリー(Br:ド・ギーシュ伯爵)
コッラド・カルメロ・カルーソー(Br:ラグノー)
ロベルト・アルキューソ(Br:ヴァルヴェール子爵)
ジャヴィエル・フランコ(Br:カルボン)
イツァロ・メンツァゥラ(MS:侍女、修道女マルト)
ナフエル・ディ・ピエッロ(B:騎士)
シルヴィア・ヴァスケス(S:リーズ、修道女)
ミゲル・ゾラ(B-Br:ラグノー)
ファン・ホセ・ナヴァッロ(B-Br:菓子職人)
アントニオ・ロツァーノ・モラ(歩哨1)
アントニオ・ゴメス・カーノ(同2)
アマディス・ド・ムルガ(モンフリー)
ルーベン・ベルモンテ(Br:スペイン士官)
パトリック・フルニリエ指揮ヴァレンシア州立管弦楽団 ヴァレンシア自治政府合唱団