この映画は我々が教科書で学んだ鉄砲伝来にまつわる悲恋を扱ったものだが、その存在を知ったのは、神田古本屋の一つで映画関係の書物を扱う店舗で知った。何と、「コンバット!」でヘンリー少尉を演じたリック・ジェイスンが出ているので、余計に記憶に焼き付いていた。だが、本篇を観たのはつい最近のことである。テレビ映画の人気の余勢をかっての際物だろうという先入感もあって、触手が動かなった。
DVDもリリースされて、観る気になると、至極普通の歴史劇といった感じだった。クレジットで出演者のトップはこのハリウッドスターだが、中味は東野英治郎扮する八板金兵衛という刀鍛冶職人が実質の主人公だった。これに即した舞台もあるのだろうか。その辺は詳しくないが、新劇のどこかがやっているような物語ではある。ジエソン出演ということで社長・永田雅一自身のプロデュースだった。帆船の船長はポルトガル人だが、言葉は英語でこれは予想通り。「コンバット!」では納谷悟朗の吹替だが、これでジェイスンの声が直接聞ける機会になったという人は多かったのではなかろうか。
リック・ジェイスンはテレビ主体だったのか、あまり映画出演のものを知らない。上記「コンバット!」以外には「ローハイド」で数回ゲスト出演しているし、「人間の証明」にもジョージ・ケネディ扮する刑事の旧友役で顔を出していた。