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Channel: 趣味の部屋
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清水脩:山に祈る

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清水脩「山に祈る」

 合唱経験者には、忘れられない作品だが、一般に知られているのは、比較的大きな合唱とピアノ伴奏によるものかと思う。だが、オリジナルは男声4重唱と小管弦楽のための作品だったようだ。資料を見ると初演で歌唱を担当したのはダーク・ダックスで多分少人数の弦楽器に管楽器がそれぞれ1本と打楽器奏者も1人くらいのオケ
が伴奏したのではなかろうか。ダーク・ダックスは慶應義塾大学のワグネル・ソサイエティの男声合唱団(Dur)のOBで4パートのトップを務めていた人たちで、1960年当時には人気のヴォーカル・グループだった。したがって、今知られているものとはかなり異なる。朗読は女優の夏川静江が担当。この夏川の朗読がかなりの名演技で感動を呼んだようである。

 そして復刻のCDでその管弦楽伴奏の形で、出ていると知り、さてどんな響かが興味があった。若杉弘指揮のビクター版が1970年の録音、作曲家自身の指揮によるものが、1960年で初演のすぐ後のようだ。そして前者が男声のみで後者は混声になっている。どちらも初演とは異なる形態で、初演と一般に知られている形態の中間的な形のようだ。オケも弦楽器は数プルトあるようだ。少し薄手のオーケストレーションでそこが少し残念なところ。また、警察の啓蒙目的という面もあって、合唱には縁の薄い身には少々違和感も覚えたのが正直なところ。

 清水脩には3つの交響曲を始め、いくつかの管弦楽曲があるようだが、どんな響だろうか。今のところ埋もれた状態ではある。大学時代にやはり音楽に詳しい友人がいて、清水の作品は面白くないと云っていたのを思い出した。

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