上京し、時間に余裕があったので、番組表をみていたら、時間的にもちょうどよくこの作品を観ることができた。そしてこの神保町シアターは初めて入る。地下にあり、スクリーンは割と大きめであった。阿佐ヶ谷ラピュタよりも客席も広く、居心地がいい。
さて、吉村監督のこの作品をスクリーンで観たのはもう40年近く前ではなかろうか。35mmのプリントは比較的良好な状態だった。ヤクザなどが出るギャングものだが、典型的な民主主義啓蒙作品だ。悪いのは軍閥とその協力者というパターンはGHQの司令の通りだろう。最近ではそう単純ではなさそうなことが明らかになりつつあるが、やはり映画は時代を写す鏡であることを確認したしだい。
映画館では昭和の男優のモダニズムのテーマの1本で森雅之にフォーカスしているが、滝沢修のボスが凄い。凝った化粧はメフィストフェレスを彷彿とさせる。悪の権化といったところ。この名優は扮装からよく練って臨むというが、これもその典型か。そして、動作も素早い。最後に森との格闘シーンがある。